NOVEL

さいしょのもののへび

ふたつめのものは自分の創った世界について自慢げに語りました。
さいしょのものも、創られた世界に興味津々でした。
ふたつめのものはそれ程に、自らの創りだした模様に満足したのです。

ふたつめのものは植物を指すと、
「これは伸び進み様々な形に変化するのです」
さらに蛇を指さして、
「これは血肉で出来ていますが、さらにしなやかに動くでしょう」
それらはふたつめのものが特に気に入ったものでした。

さいしょのものはそれらを見て喜びました。
とても興味深そうに観察した後に、ふたつめのものを褒めました。
ふたつめのものはますます誇らしくなり、言いました。
「あなたも創ってみませんか」
ふたつめのものは、さいしょのものにならそれ位の力があるだろう事が分かっていました。

さいしょのものはやる気になったらしく、見よう見まねで蛇を創り出しました。
しかし悲しいかな、さいしょのものはあまりに大きすぎて
細かい作業には向いていなかったのです。
出来上がったのはふたつめのものの蛇とは似ても似つかない生き物でした。
七つの頭がそれぞれ好き勝手に蠢き、その鱗は一つの色に留まることの出来ないばらばらとしたものでした。
真っ赤な瞳は周りの生き物の心を竦ませました。

ふたつめのものは少しだけ困った顔をしましたが、
「ときどきは変わったものが居ても良い」
と寛容なところを見せました。

あまりに凶暴なその少し変わった生き物に、統率のための頭をもう一つ付け加えて、
ふたつめのものが創った世界の模様の中に嵌め込めるようにしました。

「しかし、その体では世界の中で生き辛いだろう。何よりお前は一匹しかいないのだ。
何にでも形を変えられ、何とでも繋がれるようにしてあげよう」
ふたつめのものはそういうと、生まれたばかりの怪物を山に降ろしました。
怪物は真ん中のあたりにあるひとつの頭に引っ張られ、山の奥へと消えていきました。

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